【Nゲージ】 パワーパックと常点灯の話
ご来店ありがとうございます。
JNMAフェスティバルなどイベントに行くと…。
うちのパワーパックは安物だから、常点灯ができない。
というお声をいただきます。
常点灯はカトーの「ハイパーDX」やトミックスの「N-1001-CL」など、上級者向けタイプでないと楽しめないように思われがちです。
以前のパワーパックは、家庭用コンセントの100Vから線路に供給する12Vの変圧器を筐体内に内蔵していました。
そして、可変抵抗(厳密にはコントローラーの小容量ボリュームをトランジスタの増幅作用を使って可変抵抗的に使用すること)で電圧を上下させていました。
このため、停車中でもヘッドライトが点灯するという芸当はできませんでした。
いわゆる「パルス式」(0V/12Vを交互に流す時間比を変えて平均電圧を調節する)は、高級な機種に限られていました。
ところが…。法律の改正などもあり、100Vから12Vに降圧する電源装置をパワーパックの筐体外に設置するようにして、パワーパック本体内には電圧を上下させる仕組みだけを置くようになりました。そして、パルス式の制御ユニットもコストダウンと小型化が図られ、入門者向けのパワーパックでもパルス式を採用するようになりました。
というわけで…。入門者向けパワーパックに登場してもらうことにしましょう。
ベーシックセットに付属している「N-600」です。速度つまみを2程度にすると…。停車中にライトが点灯することが楽しめます。
※カトー製品の場合は、常点灯ライト基板に交換する必要があります…当店でオリジナル製品を販売中です。
ちなみに、ホームページでは「常点灯非対応」となっていますが、恐らく「N-1001-CL」のように、速度調整つまみのまわりに常点灯の調整リングがなく、「速度0」にしても常点灯ができないというところではないかと思われます。ちなみに、N-1001-CLのリングというのは、速度つまみのストッパーです。時計方向に回すと、速度つまみの「0」の位置が同方向にずれます。つまり、速度つまみを一番左に戻しても、実は、速度「1」か「2」なのです。車両が動き出さないような電圧が出ているというわけです。
今度はカトーの「スタンダードSX」です。こちらは「停車中でもヘッドライトや室内灯が点灯します」とホームページ上でうたっています。
やり方はトミックスと同じで、速度つまみを2程度にしておけば、常点灯が楽しめるという寸法です。
※こちらも、カトー製品の常点灯化には、部品メーカーから発売されている常点灯化対応基板に交換してください。当店でも製品化しています。
今まで、当店のカタログ類には「ハイパーDXなど…」と言っていました。これは、「スタンダードS」というものが10年くらい前まで販売されていたためです。この「スタンダードS」は、トランジスタの増幅作用を使った抵抗式であり、常点灯には対応しません。「SX」か「S」か製品名が似ており、混同される危険性もあるため、「スタンダードSX」の話をしてきませんでした。
しかし、もう、旧製品もほとんど出回っていないようですので、今販売しているパワーパックは、パルス式といって問題はなさそうです。
※ポケットラインなど特殊なものを除く
ですので、安心してライト基板を交換してくだされば…。という話でした。
せっかく常点灯ができる機能があるにもかかわらず、それを知らずにおもしろくないと言って鉄道模型をやめてしまうのはもったいないと感じてしまいます。
このほかにもいろいろとパワーパックで遊べる機能もあるのですが、これくらいで…。
では、「カトー製品のライト基板を交換する」には、何がネックでしょうか。
恐らく「車体を外すこと」ではないかと思います。
写真は、カトーのEF510です。
どうやって車体が動力につながっているのか。
動力装置にはストッパー「A」があります。ここに、車体のガラスパーツのへこみ部分「A’」がはまっているわけです。
つまり、車体の裾を広げて、ロックを外してしまえばよいというわけです。
その部分は、大抵台車付近にあります。
そういうコツがわかれば、分解など怖くありません…。
問題は、それをどうやって伝えるのかというところです。
こんなところで書いても、このブログの読者様は「知っているわ」でおしまいではないかと思います。
なかなか分解というのは禁断の世界なのかもしれないと思っています。
ユーザー側では失敗したらどうしようか、メーカー側では失敗したからと訴えられたらどうしようか…ということなのかもしれません。
某模型メーカーの社長さんのお話で「失敗してうまくなる」ということをおうかがいしたことがあります。
もう、そんな話も通用しにくいのかもしれません。
室内灯を取り付けるにも、車体を外す必要があります。
こういうクリニックこそ、本当はどこかでやってほしいところなのですが…。
量販店にそれを求めるのは酷かもしれませんが、そういうところに入門者が訪れることが多いわけで…。
というわけで。
少し前から「鉄道模型の裾野を広げる必要がある」と熱く語っていらっしゃる同業さんへ、現時点での一つの答案として提出したいと思います。
何点くらい付くでしょうか。多分、100点満点で10点あればいいところではないかと思いますが。商売は正直言って下手くそです。
まあ、裾野を広げるというよりも、どちらかと言えば、「鉄道が好きでたまらない小学生をいかに沼に引きずり込むか」が得意ではないかと思っています。
小学生と言っても、知っている人間は本当に知っています。
以前、東京のイベントで京王電鉄で戦いを挑まれ、撃破されてしまいました。いや、私の中では京王「帝都」電鉄でして。7000系といえば、確か5連の各駅停車用で、入れ替わりに2010系などが廃車された…などと言っていてはダメです。「特急北野行き。北野で各駅停車高尾山口行きに変わります」などと言われても…。まあ、近鉄でも終点で行先・種別が変わってそのまま直通というのはありますが。
イベントでも、小学生が議論を挑んできても大丈夫なようにコソコソっと付け焼き刃的な勉強をしてから会場に乗り込むようにはしておりますが…。
そんなわけで…。
8月23日(土)・24日(日) りんくうタウン駅前で「いずみさの鉄道まつり」が開催されます。
当店も出店いたしますが、ここで何をしようかと思案しているという話でした…。
長々と失礼いたしました。
ちなみに、当店のライト基板は下記のバナーをクリックしてご参照ください。